社会活動とマーケティング

昨日、経営ストラテジスト坂之上洋子さんのお誘いで、NPOの集まりであるA4GI(アライアンス・フォー・グローバルインパクト)の昼食会に参加させていただました。Teach For Japanの松田さんや英治出版の原田さん(社会起業家等のすばらしい本を多々だされている出版社です)、ヒトメディアの森田さん、Social Companyの市川さん、日本ファンドレイジングの鵜尾さん、トイボックスの白井さん、かものはしプロジェクトの村田さんなど、日本を代表するNPOや実業の面から社会問題に対して具体的にアプローチしている方々が参加されていました。また、ニュース23のキャスターの膳場さん、ディレクターの阪野さんもゲストでいらっしゃっていました。

なぜこのような集まりに参加させていただいたかというと、最近「国をつくるという仕事」(元世界銀行副総裁、西水美恵子さん著)や湯浅誠さんの「反貧困」などの本を読む機会があり、ショックをうけるとともに、心に突き刺さりました。何か自分らしい視点やノウハウを生かしてできることが無いかという想いがもやもやとわき上がり、リアルに問題に向き合われている本物の方々と会ってみたい、と思っていたところ、折よくお誘いをいただいたので、参加させていただきました。


お話を伺う中で感じたのは、皆さん「一人一人の現実」に真摯に向きあわれているというということでした。こうした「草の根の現実」の積み上げは何かのきっかけや時間軸の中でブレークスルーポイントを迎え急拡大していく可能性があるものの一人一人に向き合うということは当然、人的パワーも資金も必要で、なかなか大規模にしていくのは難しそうだな、ということも感じました。

一方で、自分自身、長年マーケティングや広告の世界で生きてきましたが、中心に考えていたのが「マスの単位でいかに反響を生み出すか」という視点。このようなマーケティングの視点を入れることで大きなムーブメントと結果を生み出すやり方があるのではないかとも感じました。森田さんとお話する中で「自給自足できるNPOを育てていきましょう」という言葉がありましたが本当にその通りだと思いました。

こんな話をしていたとこと、市川さんに史上最大のアクティビィズムキャンペーン、世界1億人が参加した「KONY2012キャンペーン」を教えていただきました。僕自身勉強不足で知らなかったのですが、なるほど、とうならされました。

このキャンペーンは、過去26年に渡り子供を拉致し兵士に仕立て上げ、残虐行為を行うウガンダ共和国の反政府武装勢力組織のリーダーJoseph Konyに世界的なスポットライトを当てることで2012年内に逮捕をすることを目的としたものになっています。これはNPO的活動が若い人やセレブリティを巻き込んで大きなムーブメントにつながった事例です。わかりやすく心が動かされるストーリー動画、期間を区切る、活動を見える化するキット配布、セレブリティの参加などまさにマーケティングだと感じました。(詳細は市川さんの記事をご参照ください)

※日本語訳のキャンペーン動画を貼っておきました。1と2で各15分と長いのですが、それだけの時間をかけてでも見る価値ものだと思います。週末の夜にでも是非!

企業の広告を日々つくっていて感じるのは、企業コミュニケーションも「企業が売りたい物の押しつけ」でなく、社会問題の解決と融合した「表面的でない実体」とそれを伝えることがブランドを形づくり企業収益を生み出すというアプローチと、チラシやリスティング、店頭POP等ストレートに販促を行う2軸に収斂していくのではないかと感じています。

最近だと、コカ・コーラのコミュニケーションが大きな話題になっていました。キャンペーンでは、インドとパキスタンという長期に渡って緊張状態におかれた両国民をつなぐという視点で、「スモール・ワールド・マシン」と名付けられた機械が、両国に一台ずつ設置され、それぞれのマシンの前に人が立つと、互いに隣国にいる相手の姿を見ることができ、両者に共通の指令を双方がクリアすれば、マシンからコーラが出てくる仕組みになっています。

今回の出会いをきっかけに、NPO×マーケティングや、企業の新しいコミュニケーションを生み出せるようなチャレンジを具体的にしていきたいと感じました。

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(勝部 健太郎 / Facebookページはこちら